
2000年6月1日開設 海のアトリエはチェリーのお人形と絵のサイトです

2022年7月
カメオが好きです。
お人形や彫像だけでなく綺麗な小さな人物像は集めたくなります。
層の色が違う石を彫ったストーンカメオ、樹脂のカメオなど色々なカメオがありますが、貝殻を手彫りで彫刻したシェルカメオが大好きです。
シェルカメオと言って真っ先に思い描くのは、橙色や褐色の背景に白いレリーフの端正な横顔が描かれた、あれ・・・ですよね。
昭和の時代に流行したのでしょう、母も持っていました。私も妹も樹脂のおもちゃのものを持っていました。
カメオには、そんな古き良き時代への郷愁があり、愛着があります。
カメオ
貝 コルネリアンとサルドニクス


これがシェルカメオに使われる貝です。(ランプに加工されたもの)
橙色がかった赤茶色のマンボウガイ(コルネリアン)と、白にコーヒーのような黒褐色のクチグロトウカムリ(サルドニクス)、2種類のトウカムリの仲間の貝です。
サルドニクスの方が大きく、硬くて細かい細工が出来るのだそうです。
貝の主な産地はコルネリアンが東アフリカ、サルドニクスが中南米なのだそうです。
それが南イタリアの工房で加工されカメオになり、更に日本で売られていたのですね、
随分長旅をして私の元に来たことになります。アンティークドールと一緒ですね。

こちらの彫刻のある方を見るとまさによく知っているカメオそのものですね。
絵柄は三美神とレダと白鳥です。
ネジ式でライト本体から取り外せ、大きさはコルネリアンが15cm位、サルドニクスが20cm位です。



灯が入るとムードがあってまた素敵で、気に入っています。
昔、水族館のお土産で買ってきたホシダカラのランプも気に入っていたのですが、壊れてしまいました。タツノオトシゴと珊瑚が彫刻されていてコンセントに差し込んで使う物でした。常夜燈として愛用していましたが、今はこちらを使っています。


コンク貝(コンクシェル )


これがコンク貝です。あまり見かけない珍しいピンク色のカメオになる中南米産の貝です。サルドニクスといい、コンクシェル といい、カリブ海には随分大きな巻貝が育つのですね。
今回記事を書くにあたり、調べて初めてコンクシェル の画像を見て驚いたのですが、何と昔から持っている貝がコンク貝でした。
今は絶滅が危惧されていて輸入に制限がある様ですが、昔は普通に食用にされ、貝も輸入されていました。これは絵画モチーフ用にと、大きくて見栄えがして、安価だったので買い求めたものです。
夏休みのデパートかショッピングモールの特設会場で、いくらだったか忘れたのですが、オウム貝は高価で買えずこちらを求めて持ち帰ったものです。
25cmほどあります。ピンク貝という名前で売っていましたが、何か適当な感じの名前なので、通称かなあと思っていました。調べてみると、確かにコンク貝をピンク貝とも言うのですね、個体差なのか種類の違いなのか分かりませんが、ピンク色が薄いので鑑賞価値が低い為に安かったのかもしれません。
ホシダカラ
昔持っていたのと同じタイプのホシダカラ のランプ。古いお土産物ですが、今でもどこかで売っているのでしょうか、これは、20年前の沖縄土産です。
茶色いまだら模様の外層、中間層の紫がかった茶色、下に行くほど白っぽい薄紫の層、上手に生かした図案だと綺麗です。この薄紫も光を入れると夕焼けのような色に見えます。
(前の持ち主さんによると、亡くなられた元彼がお付き合いする前に買って来てくれたお土産なのだそうで、そう思ってみると余計にロマンチックに見えますね)




私のカメオコレクションを
材質別に並べてみました
一段目、合成樹脂製
ニ段目、シェルカメオ ルース サルドニクス
三段目、シェルカメオ ルース コルネリアン、右端コンクシェル
四段目、シェルカメオ ブローチ コルネリアン
全身像の二人以外はバストショットの横向きで、皆右を向いています。左向き、斜め向き、正面向きのものなどもありますが、圧倒的に多いのがこの向きで、彫刻刀を振るう時、手の動きをなぞって見ると、右利きだとこの向きの方が彫り進めやすいのではと思っていたのですが、貝の構造上、色のグラデーションの対比がハッキリする濃い色を背景に置く構図を選んだ結果であると、後述のCmeo Erynceleblas様のブログで教えていただきました。確かにこうして見ると、顔の前の背景色の方が背中側の目立たない所より鮮やかな色が来ています。おかげさまで考えてもわからなかった長年の疑問が解けました。

合成樹脂のもの

上の写真が樹脂製のカメオです、左のブローチは小学校高学年の頃父が買ってくれたおもちゃのカメオです。アンティークカメオ風にギリシャ彫刻の女神のような人物が配されています。55年以上も前のものですから既にビンテージですね。子供だったので、このブローチよりラインストーンのガラスがキラキラしたお花のブローチの方が素敵に見えたんですが、父がこれの方が上品だと言って妹と私に同じ物を買ってくれました。母も「そうよ、カメオの方が素敵だわ」と言いまして、この時初めてカメオというものを知りました。まだ、母はカメオを持っていなかったので、この濃い橙色と象牙色の組み合わせとギリシャ彫刻の女神のような横顔がカメオのイメージを作り上げたと言っても過言ではありません。このおもちゃのカメオがその後のコルネリアン贔屓を作り上げたのでしょうか。カメオ部分は2・5cm
水色のはアンティークの樹脂製カメオのルース。絵柄がアールヌーボーっぽいのでその頃のものでしょうか。4cm
ベージュっぽいのは晩年の子供っぽくなった母が買ってきたカメオブローチ。母が好きそうな優雅な女性像が描かれているカメオですが、「安かったのよ」とそれなりのお値段で買ってきました。物の割にはお高い買い物だと思います。一度も使われず、私のコレクション入りしました。4・5cm、一番左は母の買ってきたものと同じ図柄で大きさと色の違うブローチ、4・2cm。レプリカのジュモーの胸元につけて使っています。
シェルカメオ ルース
アンティークカメオが好きですが、高価なので、持っていません。
下の写真、古物のルース(裸石)だと割合お安く手に入るので、少しだけ集めてみました。古物に対して元の持ち主や由来が分からない事を気持ち悪く感じる方もあるかもしれませんが、アンティークドールを集めている私にとっては全く抵抗がありません。
これらのルースは、ブローチなどを壊したものや、ルースで輸入したまま細工されずにあったものなど色々あると思いますが、由来は不明です。お値段が手頃であるという縛りの中、どれもまあまあ好きな顔を選んでいますが他に、お値段の割には彫りが良いとか、色が綺麗とか、人物のデッサンが取れているなど、それぞれに気に入ったポイントがあります。
現代物のカメオは時に少女漫画やイラストのような顔立ちで、好みでない場合があるのですが、ビンテージのものは現代ものよりは少し古いタイプの顔をしていて好みに合う事が多いです。鼻筋が通ったギリシャ彫刻的な横顔がノーブルで好きです。
サルドニクス



1、濃い茶色と白の対比と花や髪や衣装のひだが美しい。春と花の女神フローラでしょうか。4・5cm
2、ギリシャ風美女とは違い、この子だけ低い短い鼻が上を向いています。首の長さや、華奢で小さく丸い肩等身体つきも幼い子供らしさが出ていて可愛く、流れるような綺麗な曲線のデザインも好きです。実はこのカメオは、大人になってから購入したコレクションの第一号です。コルネリアンという説明で譲り受けましたが多分サルドニクスだと思います。5・5cm
3、何かの絵画が元絵になっているのかもしれませんが、背景の木や風景、リアルな人物表現がとても絵画的です。葦笛(角笛かも?)を吹く男性とそれを聞いている羊を抱いた女性、ギリシャ風の牧歌的な風景で、恋人同士でしょうか。ロマンチックな絵柄です。持っている中で一番大きなものです。横幅8・7cm
コルネリアン



4、彫りが浅く髪の線や服のひだが単調ですが、大きく色鮮やかな貝とふくよかでクラッシックな雰囲気の顔立ちが気に入っています。コルネリアン6cm
5、葡萄の飾りから見てバッカンテ(バッカスの巫女)のようです。小さい割に厚みがあって、髪の部分などに少し外側の貝の色が乗っています。コルネリアン2・5cm
6、三層になっていて、外殻の赤い色が残るように彫ってあります。小さいけれど彫りが厚く、二人の顔立ちも気に入っています。裏にG,APAのサインがありジョバンニ・アパの工房の作品のようです。3.5cm。
コンクシェル

6、コンクシェル 4・5cm。画像で見ると白とピンクの対比は印象が弱くカメオとしてあまり興味を持っていなかったコンクシェル のカメオなのですが、収集癖から一つは欲しいと思い手に入れたものです。実物を直に見ると淡い色合いが優しく綺麗で、これはこれの良さなのだなあと再認識しました。今はお気に入 りの一つです。
シェルカメオ のブローチ
(全てコルネリアン)

このコルネリアンの三層彫りのメデユーサが私が持っているカメオの中で一番見事な彫りのものです。
無知なもので、カメオって橙色っぽい背景に白っぽい花や人 物の二層の物だとばかり思っていました。わずかに、アクセントの様に外層の色を残した物は見たことがありましたが、貝殻の一番外側の色のある層を複雑に彫り込んだこの三層彫りカメオとの出会いは衝撃的でした。
優美な女性や愛らしい子供達、若々しい青年の姿の神々、色々なモチーフのカメオの中でまさか見ただけで石になってしまうという呪われた恐ろしい怪物メデユーサのカメオに一目惚れするとは思ってもいませんでした。
知りませんでしたが、メデユーサは古来魔除けとして、好んで作られたモチーフの様です。

左の金枠の小さいコルネリアンのブローチは母の物で50年くらい昔のものです。長年気がつかないでいたのですが、良く見ると三層彫りっぽく髪に薄い色が入っています。母は、この女性の鼻が低いと言っては気にしていました。・・・確かにちょっと彫刻刀が勢い余って鼻先が多めに削れてしまった感じですね、枠を入れず画面のみで3cm。
メデユーサのカメオは、現代のカメオ作家のラファエレ・ペルニーチェ氏の作で、上記バナーのリンク先のCmeo Erynceleblas様のサイトで紹介されていた新作ルースを銀でブローチに加工していただいたものです。
去年がちょうど結婚40年だったので記念に購入したものです。
大きさは4・5cmほど、枠を入れて5cm弱ですが厚みがあり、レリーフ=薄い浮き彫りをイメージしてしまう固定観念から外れる、迫力のある彫刻作品です。
リンク先サイトを拝見すると、ため息が出るような素晴らしいアンティークカメオや、現代の名匠達のカメオと出会えます。
また、カメオに対する情熱と深い知識に触れる事が出来、楽しく勉強になり、とても見応えがあります。一見の価値がある心躍るお薦めサイトです。
✴︎ 赤文字、バナーの両方にリンクを貼っています


これはジョバンニ・アパと言う有名な大きな工房のカメオです。ルース6と同じ工房で、顔立ちが少し似ています。時期で色々な作風があるようで、似ていないものも多いのですが、同じ位の製作時期なのでしょうか、・・・こんな感じの顔が好きです。
6cmほどの大き目のもので、イタリアのナポリ近郊で50年以上前に購入したものだそうです。(ホシダカラ のランプもそうですが、以前の持ち主が分かり由来が分かるものは付加価値の様に楽しい思い出を感じさせてくれます。新婚旅行のお土産という事で、私が大切に受け継ぎました。)
華やかで美しい顔立ちとデッサン力の的確さがもたらすバランスの良さ、コルネリアンの貝の綺麗なオレンジ色、マルカジットを散らした枠の古びた雰囲気が気に入っています。

三層彫り、コルネリアンの貝色が鮮やかなコントラストのはっきりした金枠のカメオです。私の以前の三層彫りのイメージそのままに、冠や花に少し外層の色を残しています。
大きさは3cm弱、枠を入れても3.5cmほどです。
被っている冠がオリーブなのか月桂樹なのか見た感じではちょっと判別がつかないのですが、オリーブの実も見当たらないし、アポロンのご神木の月桂樹かな?と思います。アポロンの巫女でしょうか。
オリーブの冠はオリンピアでの競技の優勝者に与えられます。

コルネリアンの小さなブローチ、枠を除くと2・5cmしかありません。小さい割には人物像が整っていますが、それよりも枠の細工が気に入っています。銀に金色をかけ、ところどころにマルカジットをちりばめ、ルースを留める留め具が羽を広げた小鳥になっているの洒落ています。
目安に記載した大きさはだいたいのもの、長い方の大きさのみです。
ルースには裏に作者のサインの入ったものもありますが、画像に写りにくく読めないので割愛しました。