2000年6月1日開設 海のアトリエはチェリーのお人形と絵のサイトです
サクラビスクの
簡単な修理
古いサクラビスクを手に入れたけれど、ゴムが伸びきっていて首がぐらぐらだったり、ふいごが壊れていてお腹を押しても泣かなかったり、服がボロボロ、というのは良くある事です。
・・・・そんな時は割と簡単に直す事が出来ます。
いきなりショッッキングな画像ですみません。
バラバラ事件現場です。
直しの第一歩は壊すことから、先ず慎重に帽子と髪を外して下さい。
ボネもウイッグも糊付けされているかもしれませんが、ゆっくり、ゆっくり、なるべくダメージが少ないように外します。
べったり髪が張り付いて離れない時は少し水で濡らしてもいいかもしれませんが、注意するのは、顔の表面が胡粉で仕上げられている子がある事です。
市松人形と同じで、胡粉に水は禁物、顔が溶けます。手足もビスクの子もありますが、この子のように市松人形と同じ素材と技法(桐塑に胡粉仕上げ)で作られている子が多く、うかつに汚れを拭き取ると表面が溶けるので注意して下さい。
その後は伸びきったゴムを継ぎ目の隙間から切るだけで、こんな風に見事にバラバラになります。脱がせられなかったドレスも簡単に、上に引くだけで無傷で脱がせる事が出来ます。
画像の撮影順が前後しますが、ふいごの状態です。大きな虫喰い穴が空いています。泣く訳ないですね、
これは泣き笛自体が壊れていなければ、すごく簡単に直ります。
ふいごは紙製で糊でつけられているだけなので、すぐ外せます。外したら、穴が他に無いかチェック。突き出た竹の棒みたいなのが笛です。
ここが壊れていると私は直せません。ストローや野菜を切って歌口を作って演奏をする人をテレビで見た事がありますが、あれが出来たら直せるのになあと思います。
残念ながら、歌口の作り方というのが未だに分からずに居ります。
必要なものはこれだけ。糊と和紙の切れ端(ここでは昔子供が使った安い習字用半紙のはじっこ)です。
半紙の切れ端に糊をつけて穴を塞いだら元あった場所に再び糊付けしておしまいです。
乾くのが待ちきれず、ちょっと押してみたら、音がしました。
何年ぶりに泣いたのかな?この瞬間がいつもドキドキします。
次はゴム引きです。
もう少し太いゴムが良かったんですが、少量しか使わないので大量に余るのが嫌で、手持ちの細いゴムを2重にして済ます事にしました。
パーツの端の針金にゴムを通します。この時、針金が伸びたりしていたら、使いやすい形に、ペンチで調整します。フックの針金が抜けてしまっていたり無くなってしまっていたら、新しく作って補修します。
太めの固い針金でS字形を作り、片側を腕の付け根の取れてしまった穴にねじ込んで、木工用ボンドと石塑粘土を練ったものを穴に詰めて乾かし、水性アクリル絵の具でその部分の肌色を整えます。木部補習用のボンドや、パテ等何でも良いかもしれませんが、粘土は乾くのが遅いので、気楽に使えます。
後は手の穴から穴にゴムを通してもう一方の手のフックに引っかけて絞って結ぶだけで、穴が大きいので楽勝です。ただ、針金の付け根がもろくなっていたりすると絞り過ぎると抜けるので、ゴム引きはちょっと控えめにした方が無難かもしれません。左手と右手、背中とお腹を確認して間違えない様に、・・・最後ゴムは切ってボデイの方に結び目を入れます。
次は足です。足のフックを通したゴムを頭に持って行ってから再びもう一方の足に繋ぎます。
腕のゴムが既に入っているので少しだけ面倒です。
ゴムがばらけていたり、結び目の瘤があっては無理なので、ゴムひもの先端にセロハンテープを一巻きして1本にまとめました。始めからこうしとけば良かった!ぐっと扱いやすいです。
大きなビスクドールのゴム引きと違って、先端が曲がって引っ掛けるようになっている針金状のものを使ってゴムを引き出す必要は無いですが、せめてこれくらいはしておきましょう。
穴からゴムを入れればだいたい重力の方向に落ちて行くので、ピンセット程度の道具があれば、作業はOKです。
V字形の針金をヘッド下部に引っかけ、そこにゴムを通して固定する仕組みです。頭の中から覗いたら、これを下のボデイに通して足まで持っていくのは無理だったので、頭の下からゴムを通す事にしました。意外と針金が下に露出してます。これなら、このまま足まで持って行ける!!
もう片方の足の穴からゴムを引き出す事に成功!
セロテープ効果絶大です。
お世話になったセロテープですがここで切り離して2束にします。(ゴム2本取りで繋いでいるので4本のゴムになっていますが、本来でしたら、2本のゴムになります)
ゴムの一方をフックに通して、引き絞り、もう一方と結びます。力が入ってブリッジしちゃってますが、ゴムを切って結び目をボデイに引き込んだら完成です。